がん検診
婦人科領域のがん
婦人科領域のがんとは、女性の生殖器や性ホルモンに関係する部位に発生するがんのことで す。婦人科領域のがんには、子宮頸がん、子宮体部がん、卵巣がん、外陰がん、膣がんなどがあります。
ここでは子宮頸がん 子宮体部がん 卵巣がんについて説明します。
子宮頸がん
子宮頸がんとは、女性の子宮の入り口にある部分 (子宮頸部)に発生する悪性腫瘍のことです。
原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV) というウイルスの感染です。HPVは、性交渉によって感染することが多く、ほとんどの場合は自然に排除されますが、稀に子宮頸部に残ってがんを引き起こすことがあります。
HPVに感染したからといって、必ず子宮頸がんになるわけではありません。しかし、感染した人は、定期的に検診を受けることが大切です。
子宮頸がんは、早期に発見すれば治療の成功率が高くなります。しかし、初期の子宮頸がんは自覚症状がほとんどないため、気づかないまま進行してしまうこともあります。そのため、20歳以上の女性は、無症状でも定期的に子宮頸がん検診を受けることをおすすめします。
子宮体部がん
子宮体部がんとは、子宮の上部にある子宮体と呼ばれる部分に発生する悪性腫瘍のことです。子宮体部がんの原因は、主に女性ホルモンのバランスが崩れることにより、子宮内膜が過剰に増殖することです。そのため、閉経後の女性や肥満の女性に多く見られます。
子宮体部がんの症状は、主に不正出血です。閉経後の女性であれば、自然に出血することはありません。出血があった場合はすぐに医師に相談してください。
また、下腹部痛や腰痛、尿路感染症なども子宮体部がんの合併症として起こり得ます。子宮体部がんは早期発見すれば治癒率が高いですが、進行すると転移や再発のリスクが高まります。
子宮体部がんは予防することも可能です。予防法としては、定期的な婦人科検診を受けることや、肥満や高血圧などの生活習慣病を改善することなどが挙げられます。自分の身体に異変を感じたら、遠慮せずに医師に相談しましょう。
卵巣がん
卵巣がんとは、女性の生殖器の一部である卵巣に、悪い細胞ができて増えていく病気です。卵巣は、子宮の両側にあり、卵子や女性ホルモンを作る役割があります。
遺伝や子宮内膜症(子宮の内側の組織が子宮の外にできる病気) 出産経験のないことなどが、卵巣がんになるリスクを高めると考えられています。また、高齢での初産や不妊治療する場合にも、リスクが高まるので注意が必要です。
初期の段階では、自覚症状がないことがほとんどです。気づかないうちに進行してしまうため、「静かながん」とも呼ばれることがあります。進行すると、お腹が張ったり、しこりを触れたり、頻尿や便秘などの症状が出ます。
卵巣がんは早期発見が難しいため、定期的な婦人科検診や自己チェックを行うことが大切です。自分の体をよく観察し、異常を感じたら早めに産婦人科で相談しましょう。また、定期的な健康診断や検診も大切です。
子宮頸がん検診
子宮頸がん検診は、女性の子宮の入り口にできるがんを早期に発見するための検診です。ただし、月経時には避けましょう。以下のような方法があります。
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問診
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視診
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(內診)超音波檢查
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細胞診
ただし、性行為の経験がない場合は、感染リスクが低いので検診のメリットは少なくなります。
問診
医師や看護師が、健康状態や生活習慣について質問します。例えば、最近の月経の日付や周期、妊娠や出産の経験、性器出血やおりものの状態、前回の検診の結果や治療歴などです。これらのことは、子宮頸がんのリスクや症状と関係があるからです。事前にメモしておくと 便利です。
視診
医師がクスコという器具を使って、あなたの膣や子宮頸部を見ます。クスコは膣を広げるための器具で、少し冷たくて硬いかもしれませんが、痛みはありません。医師は子宮頸部に異常がないか確認します。
内診
医師が左手の指を膣に入れて、右手でお腹を押しながら、子宮や卵巣の大きさや位置を調べます。内診は少し圧迫感を感じるかもしれませんが、痛くないように気をつけます。
細胞診
医師がヘラやブラシという器具で、子宮頸部から細胞を採取します。細胞診は少しチクッとするかもしれませんが、すぐに終わります。採取した細胞は顕微鏡で見て、異常がないか判断します。
検診を受けるときは、下着を脱いで診察台に上がります。ゆったりしたスカートやワンピースなどを着て行くと楽です。また、出血することもあるのでナプキンを持って行きましょう。
検診の結果は後日連絡されます。もし「要精密検査」、「要再検査」や「要治療」という結果だったら、必ず指示された病院に行ってください。子宮頸部に異常な細胞が見つかったということです。
精密検査では、コルポスコープという拡大鏡で子宮頸部をよく見たり、組織を採って検査したりします。これで、がんかどうかを確かめます。
自分の体を守るためにも、2年に1回は検診を受けましょう。20歳以上の女性に、検診をすすめられています。国や自治体では、無料か安く受けられるようにしています。また、予防接種 (HPVワクチン) も効果的です。